玉串料とは?
玉串料とは神道の儀式においてお供えされる玉串と呼ばれる、お供え物の代わりとなる金銭のことです。いわば結婚式や葬儀の際に持参する祝儀や仏式の香典に近いものとイメージしていただければわかりやすいでしょう。また、玉串料は神主の方への祈祷の謝礼の意味もあります。
玉串料の意味とその名前の由来
神道で玉串がお供えされるようになった由来は日本の神話の中にあります。天照大神(アマテラスオオミカミ:日本の皇室の祖先とされる女神のこと)が弟神であるスサノオノミコトの乱行に愛想をつかし天の岩戸に隠れましたが、その岩戸隠れの際に神々が岩戸から出てきてもらうために、玉や鏡をつけた「五百津真賢木(いほつのまさかき)」というお供え物が起源となっています。
神道では榊の持つ意味や玉串の由来から儀式の際のお供え物として一般的に用いられます。
ただし、時代が下るにつれて本来であれば儀式の場に用意すべき玉串を用意できないということも増えてきました。そこで玉串を用意できない代わりにお金という形でお供えするために使われるようになったのが玉串料です。ちなみに、神道の儀式の際に参列者が玉串を捧げる儀式を「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」といいます。
玉串料はどんな時に渡すもの?
玉串料は一般的には神道で行われる各種の儀式で渡します。具体的には神前の結婚式(神式結婚式)や神葬祭(しんそうさい:神道形式の葬儀のこと)、七五三の祈祷、お宮参りといった神道に関わる冠婚葬祭ごと全てにおいて持参が可能です。
ただし、神道の儀式の後でお守りやお札を授かる場合には、玉串料を渡すのは不適切とされております。この場合は初穂料としてお供えするのが一般的です。
玉串料と初穂料の違い
神道関係でお供えする金銭は玉串料だけではありません。玉串料と非常によく似た金銭として初穂料が挙げられます。一見すると同じにさえ見える両者ですが、はたしてどのような点で違いが見えるのでしょうか?
ここでは、玉串料と非常によく似ている初穂料についてもご説明いたします。
初穂料とは?
初穂料は、もともとはその年に最初に収穫されたお米を意味していました。
つまり、めでたく無事に収穫できたことを神様に感謝するためにその年に最初に収穫されたお米を神前にお供えしたものです。
後に他の農作物や魚介類で最初に獲れたものをお供えするようになったことから「初物」という言葉も生まれました。
しかし、一方で農家や漁師の方以外の人々の場合や運悪く凶作だった場合は、初物をお供えすることが難しいということも起こります。そこで初物をお供えする代わりにお金を納める形にしたのが初穂料です。
玉串料と初穂料はどう使い分ける?
初穂料も玉串料と同じように神前結婚式や七五三など神道のさまざまな儀式で使われます。ただし、神道の葬儀である神葬祭では初穂料は使用しません。これは玉串料と違い初穂料は神様に感謝するためにお供えされるお金という性格があるためです。このため、葬儀の場で包んだお金に「初穂料」という書き方で記すことは間違ってもしないように気を付けましょう。