クシナダヒメの別称
クシナダヒメは古事記での呼び名で、いくつか別称があります。
日本書紀では、
- 奇稲田姫(クシイナダヒメ)
- 奇稲田姫命(クシナダヒメノミコト)
- 稲田媛(イナダヒメ)
- 眞髪觸奇稲田媛(マカミフルクシイナダヒメ)
出雲国風土記では、
- 久志伊奈太美等与麻奴良比売命(クシイナダミトヨマヌラヒメ)
また祭神としては、シンプルに稲田姫命(イナダヒメノミコト)とされる場合もあります。
さらにクシナダヒメは瀬織津姫と同一とする説もあるようです。
クシナダヒメの神話
クシナダヒメといえば、須佐之男命が八岐大蛇と戦った神話のヒロインであることが有名です。
それでは、その神話の内容を解説していきましょう。
須佐之男命に命を救われたクシナダヒメ
あまりに粗暴なため高天原を追い出されてしまった須佐之男命は、出雲の国に降り立ちます。
そこで、美しい少女を抱きながら悲しみに落ち込んでいる、足名椎命と手名椎命という夫婦に出会うのです。
須佐之男命が話を聞くと、年に一度8つの頭と8本の尾をもつ八岐大蛇という怪物がやってきて、娘を食べてしまうのだといいます。
すでに7人の娘を失っている夫婦ですが、まもなく傍らにいる櫛名田比売も食べられてしまうと嘆くのです。
須佐之男命は、自分は伊邪那岐大神と伊邪那美神の子で天照大御神の弟であると告げ信頼を受けると、少女との結婚を条件に八岐大蛇退治を請け負います。
須佐之男命は、まずクシナダヒメを神通力で湯津爪櫛(ゆつつまぐし・爪の形をした歯の多い神聖な櫛)に変え髪に挿します。
次に足名椎命と手名椎命に、8つの門を造りそれぞれにたっぷりと酒を満たした桶を置くように指示をして、八岐大蛇が来るのを待つのです。
やがて、八岐大蛇が姿を現します。
そして、8つの頭をそれぞれの桶に入れて、酒を飲み始めるのです。
酔いが回って寝てしまうのを待って、須佐之男命は神剣十拳剣(とつかのつるぎ)で切り刻みますが、尾を切った際に剣が鈍く響き刃が欠けてしまいます。
見ると、その尾は大刀が骨となっており、須佐之男命は抜き取り自らの手に収めます。
この刀が後に天照大御神に献上された草薙剣です。
八岐大蛇退治のその後
八岐大蛇を退治した須佐之男命は、約束通り櫛からもとの美しい姿に戻ったクシナダヒメと結婚します。
暮らす場所を探して、たどり着いたのが出雲国の須賀の地で、そこに宮を建てることにするのです。
その際に詠んだとされる
八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を
は、日本で最初に詠まれた歌と伝わっています。
クシナダヒメのご利益
クシナダヒメの神格は稲田の神です。
伝説に残る八岐大蛇は、山の神や龍神の象徴であり、自然の力だとも考えられています。
その自然の脅威から、稲を守る巫女とされるのがクシナダヒメであるため、稲田の神とされているのです。
ただ、有名なのは縁結びや夫婦円満といったご利益でしょう。
それは、櫛に身を変え霊力を与えて須佐之男命と戦ったことが、夫婦力を合わせて…というご利益につながったのかもしれませんね。
- 縁結び
- 夫婦和合
- 金運招福
- 厄除開運
- 衣食住守護
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