天照大御神の物語
天照大御神にまつわるエピソードにはいくつかありますが、この章では天岩戸についてご紹介します。
須佐之男命のいたずらがきっかけ
天照大御神の弟に勇猛さで知られる須佐之男命(スサノオノミコト)がいました。彼は日常的に高天原に住む人々に悪ふざけばかりしており、はじめのうちは田んぼや神殿にイタズラをするといった、今風にいえばやんちゃなわんぱく坊やといった様子でした。
天照大御神もそんな弟を大目に見て許していましたが、須佐之男命は改心するどころか、さらに調子に乗るようになっていきます。
そして、ある日のこと機織りをしている巫女のところに皮をはいだ馬を投げつけるといういたずらをしました。投げつけられた巫女は驚きのあまり絶命します。
天岩戸に引きこもる天照大御神

この話を聞いた天照大御神は怒りと罪の意識から天岩戸と呼ばれる洞窟に引きこもりました。
ところが天照大御神は太陽を司る女神であるため、この引きこもりによって世界中が闇に覆われ、悪いことばかり起こってしまいます。
天鈿女命の踊り

天照大御神が隠れたことで世界が闇になりました。困り果てた神々は、何とか天照大御神に岩戸から出てきてもらうようにするべく対策を練りました。そこで考え出したのが岩戸の前で楽しく宴会を開くというものです。
さまざまな神様が楽しそうにいろいろな芸を披露する中、特に芸能を司る女神である天鈿女命(アメノウズメ)がほぼ全裸になって踊ったために、場の雰囲気が一層盛り上がりました。
天手力男神が天照大御神を引っ張り出す
岩戸の中に引きこもっている天照大御神は、外から楽しい笑い声が聞こえて来るのが気になったために外を覗きながら、「私がいなくて外が暗いのになぜそんなに楽しく笑っているの?」と神々に尋ねます。
すると踊っていた天鈿女命(アメノウズメ)が「あなたよりもご立派な神様が現れたのですよ。」と答えながら、鏡(八咫鏡:やたのかがみ)を見せました。
鏡に写っていたのは光り輝く天照大御神そのものでしたが、彼女が見とれているうちに近くにいた天手力男神(アメノタヂカラオ)が天照大御神を引っ張り出します。
これによって、世界は再び光に包まれ、平穏さを取り戻すに至りました。なお、事件のきっかけとなった弟の須佐之男命そのまま高天原から追放されます。
ちなみに、舞台となった岩戸の場所とされるところは全国各地にありますが、そのうち最も有名なのが宮崎県高千穂町にある天岩戸神社の付近です。この神社では天岩戸そのものがご神体とされています。
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