ニギハヤヒ(邇藝速日命)は、一説によると天孫降臨の邇邇芸命(ニニギノミコト)よりも先に大和の国に降臨していたとされる神です。
ただし、ニギハヤヒは謎の多い神で、古代史研究の中でもさまざまな解釈をされ、正体がはっきりしない存在です。
そんなミステリアスな神であるため、不老不死の薬を求めて大陸から渡ってきた使者、正体は宇宙人アヌンナキで宇宙から舞い降り文明を築いたなど、都市伝説的な解釈をされてもいます。
邇藝速日命(ニギハヤヒ)とは?
古事記では、豪族登美能那賀須泥毘古(トミノナガスネビコ)が治めていた大和の国の神とされていました。
妻は登美能那賀須泥毘古の妹の登美夜毘売(トミヤビメ)で、その子の宇摩志麻遅命(ウマシマヂノミコト)は後の有力豪族物部氏の始祖とされています。
一方日本書紀では、神武東征以前に天照大御神より呪術の神として下る命を受け、天磐船に乗り河内の国に降り立ち、その後大和の国へと進みその地を治めたとされています。
ここでは、邇藝速日命は天孫降臨の邇邇芸命の兄、天照大御神の孫として登場しています。
その天降の際に、天神御祖(アマツカミミオヤ)からもたらされたのが、天璽瑞宝十種(あまつしるしみずたからとくさ)といわれるものです。
- 沖津鑑(おきつかがみ)
- 辺津鏡(へつかがみ)
- 八握剣(やつかのつるぎ)
- 生玉(いくたま)
- 死返玉(まかるかへしのたま)
- 足玉(たるたま)
- 道返玉(みかへしのたま)
- 蛇比礼(おろちのひれ)
- 蜂比礼(はちのひれい)
- 品物之比礼(くさぐさのもののひれ)
この十種神宝(とくさのかんだから)とともにもたらされた天羽々矢(あまのははや)は、天津神の子であることを示すものとされていることから、日本書紀ではニギハヤヒは正当な神の流れを汲む存在となっています。
ニギハヤヒの名前の由来
ニギハヤヒはいくつか別称をもっています。その中でも共通するのは「速日」の部分です。
天照大御神が、太陽の神であるように、古代では星を神に例えることがありました。饒速日の「速日」の日は火だとされ、そのことから速い火、隕石との関連があると推測されています。
そんなところから、ニギハヤヒが宇宙から飛来したもの、宇宙人という伝説が生まれたのかもしれませんね。
ニギハヤヒの別称
ニギハヤヒの正体を謎にしている原因の一つがその別称の多さです。
古事記では、
- 邇藝速日命
日本書紀では、
- 饒速日命
と記されています。
ニギハヤヒの伝承を混乱させる一つの理由となっている、先代旧事本記では、
- 天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊(アマテルクニテルヒコアマノホノアカリクシタマニギヤハヒノミコト)
- 天火明命(アマノホノアカリノミコト)
- 天照国照彦天火明尊(アマノホノアカリノミコト)
- 胆杵磯丹杵穂命(イキシニギホノミコト)
と記されており、天孫族の祖となる天火明命と同一神としています。