十方暮とは?
十方暮(じっぽうぐれ)とは、十干十二支で日の干支が「甲申(きのえさる)の日から癸巳(みづのとみ)の日(21番目から30番目)」までの10日間のことをいいます。十方暮は選日の内の1つで、十方暮といわれる10日間は「天地の気が相剋して万事うまく行かない凶日」といわれる期間のことです。
カレンダーには、十方暮の10日間全てに記載があるわけではなく、十方暮始まりと十方暮終わりのみ記されていることが多いでしょう。
十方暮の由来
十方暮の由来は、陰陽五行説からきています。十方暮の「十方」は東西南北の八方向(東・東南・南・南西・西・西北・北・北東)の方角に上と下、つまりは天地を加えたものを表しており、自分たちからみたありとあらゆる方位という意味です。
また、「暮」というのは字の通りに日が暮れるという意味で、この場合は「闇」を意味します。そのことから、十方暮の別名として「十方闇(じっぽうぐれ)」と表記している場合もありますよ。十方暮は文字の通りの意味で、「四方八方を闇に塞がれている」期間です。
一説によれば、「途方に暮れる」という言葉から派生した選日ともいわれています。また、反対に十方を「とほう」と読み、暮れるを合わせたことから、十方暮から途方に暮れるという言葉が生まれたという説もありますよ。
十方暮の読み方
十方暮の読み方は「じっぽうぐれ」です。別名として十方闇と表記される場合もあります。一般の人であれば十方暮は聞き慣れない言葉ですが、十方暮の「十方」という言葉は、仏教用語の「三世十方(さんぜじっぽう)」という言葉にも用いられているため、仏教に精通した人であれば十方暮の読み方や意味を知っている人も多いでしょう。
三世十方とは、仏教用語で過去・現在・未来におけるあらゆる時間や空間という意味です。他にも「十方」自体が禅宗において、法系や門派を問わず、広く自由に住持を招く制度という意味も持っています。
十方暮の基となっている陰陽五行説は、古来中国から日本へ伝わったのものです。日本の仏教も中国から伝わっているものが多いため、選日に仏教用語と似たような言葉が使用されていると考えられるでしょう。
十方暮の始まりや終わり
十方暮れの始まりは、十干十二支で日の干支が甲申(きのえさる・21番目)の日からで、終わりは癸巳(みづのとみ・30番目)です。1年は365日なので、年に最低でも6回は十方暮の期間は巡ってきます。
本来であれば選日の期間の内、十干十二支で23番目になる「丙戌(ひのえいぬ)」と26番目の「己丑(つちのとうし)」の日は、暦上で凶の影響を受けない「間日(まび)」といわれる日です。八専や天一天上といわれる選日には、丙戌と己丑の日に間日が当てはまりますが、十方暮は例外です。
十方暮の間日は、周りの日の相剋(そうこく)の影響を受けて凶日になるとされているため、丙戌や己丑の日であっても間日が適応されないと考えられています。そのため、カレンダーにも十方暮の間日は記されていません。