ロザリアロンバルドをミイラにしたのは誰?
娘の死を酷く嘆き悲しんだ父マリオは、剥製職人だけでなく遺体を衛生的に修復保全するエンバーマーとしても有名な、アルフレッド・サラフィアの元を訪ねます。アルフレッド・サラフィアの技術や知識は当時の世界トップクラスで、海外でも有名な程でした。
そのアルフレッド・サラフィアの手によって、ロザリアロンバルドは永遠の美しさを手に入れたのです。
ロザリアロンバルドがミイラになる過程
アルフレッド・サラフィアは、独自の方法でロザリアロンバルドをミイラにします。1920年の12月、アルフレッド・サラフィアは、早速ロザリアロンバルドの遺体の防腐処理に取りかかりました。本来であれば、内臓は非常に腐敗しやすい部分になるので、取り除いてしまわなければなりません。
しかし、ロザリアロンバルドを撮影したレントゲン写真からは、彼女の全ての内臓が残されていることが判明しています。これは、アルフレッド・サラフィアがエンバーマーのみならず、剥製職人の技術も持っていたことが関係していたと考えられるでしょう。そのため、彼のエンバーミングは特殊で、遺体の内臓ごと保存が可能なのが最大の特徴です。
後に見つかった彼の手稿によると、ロザリアロンバルドの遺体に防腐効果のある薬剤を血管から注入しています。死亡をしても血管の構造は保たれるため、大きな動脈のある大腿動脈を利用したのです。死後硬直をしていたロザリアロンバルドの遺体をマッサージやストレッチをして血流を改善させ、一時的に死後硬直を解きます。そして、ホルマリン・硫酸亜鉛・塩化亜鉛・アルコール・サリチル酸・グリセリンの入った防腐剤を血管に流し込みました。
この薬剤こそが、アルフレッド・サラフィアが高度な技術と知識を持っていた証拠でもあります。ホルマリンには高い防腐効果があり、アルコールは遺体を乾燥させる役割、グリセリンは反対に遺体の乾燥のし過ぎを防ぎ、サリチル酸は菌の繁殖防止の効果があります。硫酸亜鉛・塩化亜鉛が最大のポイントで、石のように硬くする働きと同時に防腐効果も得られるのです。このように、高度な防腐処理と同時に身体を硬化させることによって、死後の変形を防ぎました。
投薬の際は頭部を下げた状態で寝かせ、不要な血液を同時に静脈から取り除きます。そうすることによって、内臓など身体の隅々にまで防腐効果のある薬剤が全身に行き渡るのです。それでも薬剤が行き渡りにくい場所は、部分的に注射をしています。また、最後にパラフィンを頬に注射し、頬を生前同様にふっくらさせたら完成です。
ロザリアロンバルドが目を開けた?瞬きのトリックとは?
ミイラと化しているロザリアロンバルドですが、目を開けるミイラともよばれています。これには諸説ありますが、彼女は元々完全に目を閉じて保管されているわけではありません。そのため、カタコンベの中の光や見る角度によっては、目を開けたり閉じたりしているように見えることがあります。
また実際に、アメリカのナショナル・ジオグラフィック・チャンネルはタイムラプスカメラを用いて検証を行いました。12時間の検証の結果、ロザリアロンバルドの目は実際に開いたり閉じたりすることが確認されたのです。
この現象は、カタコンベの中の湿度や気温など微気象の変化の影響によって、眼球が膨らんだり縮んだりしていることが理由だと考えられています。目が開いている状態だと、彼女の美しい青色の瞳も見ることができるそうです。
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