丑の刻参りが行われている貴船神社
(貴船神社)
この丑の刻参りが今でも密かに行われていると言われている場所が、京都にある貴船神社です。
貴船神社のご神木には、確かに虫食いにしては不自然な、五寸釘を打ち付けた後のような穴がありますが、真相は定かではありません。
ですが、今でも貴船神社では度々五寸釘が打ち付けられた藁人形が見つかるという話もあります。
貴船神社が丑の刻参りで有名になった由来:①
この貴船神社がなぜ丑の刻参りで有名かと言いますと、「丑の年、丑の月、丑の日、丑の刻に、貴船の神様が牛鬼を従者にして降臨した」という謂れが伝わっているからです。
その謂れになぞらえて、その時間帯に参拝を行うと願いを聞いてもらえるという話が生まれました。
それがいつの間にか「丑の刻参り」という呪いの儀式に変化していったものと考えられます。
貴船神社が丑の刻参りで有名になった由来:②
また、平家物語に登場する「宇治の橋姫」の話も影響があると考えられています。
とある公卿の娘が、深い妬みや嫉妬にとらわれて、貴船神社に7日間籠り、
「貴船大明神よ、私を鬼神に変えて下さい。妬ましい女をとり殺したいのです」
と願ったそうです。
その姿を貴船大明神は哀れに思い、
「鬼になりたければ、姿を変えて宇治川に21日間浸れ」
と告げました。
それを聞いた娘は、現在の丑の刻参りの衣装に似たような格好をとり、貴船大明神に言われた通りに宇治川に21日浸ると、生きながら鬼になります。
この娘は名を「橋姫」と言い、宇治川にかかる宇治橋の近くに「橋姫神社」と呼ばれる神社があり、そこに祀られています。
正式には瀬織津媛(せおりつひめ)を祀っていますが、橋姫が鬼になった後、源綱に退治され橋の神になったという話があります。
縁切りの神様でもあり、悪縁を切るご利益があるそうですが、恋人同士で神社の前を通ったり宇治橋を渡ったりすると、別れてしまうという言い伝えもあります。
現在の丑の刻参りは?
橋姫のお話は、現在の丑の刻参りとも類似点がある事から、丑の刻参りの原型とも言えそうです。
現在の丑の刻参りの形にいつ頃から変化していったのかは分かりませんが、時代が変わっていく内にいつしか、藁人形と五寸釘に変わっていったようです。
覚悟さえあれば、誰でも実行出来てしまうような呪術ですが、「人を呪わば穴二つ」です。
呪いは自分自身に返ってくる可能性が高いので、実行はやめておいた方が良さそうです。
丑三つ時についてまとめ
「丑三つ時」には、「あの世」と「この世」の境目が曖昧になるとも言われています。
そのため、怪異に遭遇する事が多く、呪術などにはもってこいの時間帯ですが、怖い思いをしたくなければ大人しく眠っていた方が安全です。
また夜の神社に近づく事もやめておいた方が良さそうです。
「丑の刻参り」は人に見られてしまうと呪いが成功しないどころか、その呪いがかけた本人にかえってくるというリスクがあるため、もし夜の神社で「丑の刻参り」の儀式に遭遇してしまった場合、もしかすると術者が追いかけてくるかも知れません。
皆様も、「丑三つ時」の怪異にはご注意を。
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