言霊の意味とは
言霊の意味とは、古代日本で言葉には不思議な力が宿り、発した言葉からその通りの結果があらわれるということをいいます。
日本最古の歴史書である「古事記」には、良いことも悪いことも一言で言い放つ一言主大神(ひとことぬしおおかみ)が、言霊を司る神として登場しています。また、万葉集には日本は「言霊の幸(さきわ)ふ国」であると記されており、古くから言霊は幸福をもたらすとされていました。
そのほかにも、お祓いの際に神主が読み上げる「祝詞」(のりと)や、結婚式などでの「忌み言葉」も言霊の思想によるものです。
言霊の力に基づいた言葉である祝詞は「商売繫盛」「厄除け」「健康祈願」「恋愛成就」など、さまざまなジャンルにてその力をはたらかせます。そのために祝詞を奏上の際には、誤読がないように細心の注意によって読み上げられます。
結婚式など、お祝いの場では使うことを避ける「忌み言葉(忌みをはばかって避ける言葉)」なども言霊を意味するものからきています。
言霊のもつ力
日常生活のなかで、何気なく口にしている言葉にも力が宿っているとされています。
言葉にすることで何かを実現するための力になったり、反対に理想とすることから遠ざかったりすることもあります。
困難なことがあっても、言い続けることで願望が叶ったというエピソードも少なくはないでしょう。目標に向かい漠然と「叶ってほしい」と思っているよりも、「何月何日に達成する」という明確な目標を立てその言葉を口に出す使い方をすることで、言霊のもつ力もでやすくなります。
名前に宿る霊力
日本では、古くから「名前には霊力が宿る」といわれてきました。名前に宿る霊力、すなわち個人の名前には他の言葉よりも大きな力が宿っているという考えがあります。
言葉は単なる記号としてではなく「現実に作用してそれが指し示す実態を呼び起こす観念である」と、とらえられていました。
日本書紀において、一言主大神は天皇に名前を尋ねられても、すぐには明かすことをしませんでした。名前を名乗ることは「自分の魂をさらけ出すこと」であるとされており、それを知っていた一言主大神は相手の名前を聞くまでは、自分の名前を名乗ることをしなかったのです。
また、一文字一文字には与えられたそのときに特別な願いや意味が込められていることから、名前には大きな力が宿っているといえるでしょう。
海外にも言霊の文化がある
ここまで日本の言霊文化についてお伝えしましたが、海外にも言霊の文化は存在します。海外で音や言葉は禍々(まがまが)しき魂や霊を追い払い、その場を清めるはたらきがあるとされています。
新約聖書では「希:Πνεύμα(プネウマ)」というものがあります。「プネウマ」とは「聖霊」や「命の息」を意味するものでもあり、具体的には祝いや悪霊払い、中華圏での春節のときなど、さまざまな「音」を利用して場を清めているようです。
また、「真理とは巌(いわお)のようなものであり、その上に教会を築くことができる」「真実を知りたければ鏡に汝自身を映してみよ、それですべてが明らかになる」など言霊を使って奇跡を生み出すさまが描かれていたりします。
このように海外でも、言霊のエネルギーや力を信じた文化があることがわかります。とくに発言する言葉の力は自分自身の力で選択、使い分けていくものであると考えられています。
そのため、外国人がいつもポジティブな言葉を使っているように見えるのは常に言葉の意味を考え、言葉や行動に移しているからなのでしょう。
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