八尺瓊勾玉とは?
皇室が代々受け継ぐ宝物
三種の神器とは?
天照大神が国土・葦原中国(あしはらのなかつくに:高天原と黄泉の国の間にある世界のこと)を治めるため瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を遣わした際に預けたとされる聖なる鏡・聖なる玉・聖なる剣のことです。日本の正統な支配者であることを示す為のもので代々天皇の代替わりの際に受け継がれています。
三種の神器の一つ・八尺瓊勾玉
聖なる玉にあたるのが八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)です。「八尺」は古くに使われていた長さを示す単位「咫(あた)」に相当すると思われ、八咫は約140㎝とされています。この長さが勾玉の胴の長さを示すのか、はたまた勾玉を結わえる紐の長さを示すのか、ただ大きいことを示す比喩なのかは諸説語られています。また「瓊(けい)」は赤を意味し、赤いメノウ製の勾玉なのではないかと言われています。
ポイント
- 八尺瓊勾玉=天照大神が地上に降りる瓊瓊杵尊に預けた神器の一つ
- 八尺(=大きな)瓊(赤い)勾玉
八尺瓊勾玉の実物の場所
八尺瓊勾玉はどこに?
平安時代から三種の神器は天皇のそばで保管されるようになりました。現在も皇居の「剣璽の間」という場所に保管されています。しかし保有する天皇ですら現物を見ることは許されず、実物を見たものはいないという謎に包まれた宝物です。
源平合戦で沈んだ八尺瓊勾玉
平安時代が終わり鎌倉幕府誕生へと繋がる源平合戦。その最後の戦・壇ノ浦で平家が敗れた際に幼帝・安徳天皇と共に八尺瓊勾玉は海へ沈みました。が、密閉された箱に入っていたため箱は浮かび無事に鎌倉方によって回収されたそうです。どこか八尺瓊勾玉のご神徳を感じるエピソードです。
ポイント
- ⬇︎ 源平合戦一度海に沈むも浮かび上がり源氏方に回収される⬇︎ 現在皇居「剣璽の間」で保管※天皇すら見ることを許されない秘宝
八尺瓊勾玉と天照大神の神話
天岩戸神話に登場する八尺瓊勾玉
『古事記』に描かれる天照大神の天岩戸伝説に八尺瓊勾玉が登場します。天岩戸伝説とは弟・スサノオの悪行に心を痛めた天照大神が天岩戸と呼ばれる場所にお隠れになってしまったため地上は真っ暗になり人も作物も繁栄しない世になってしまったお話です。神々が天照大神を天岩戸から出そうといろいろな儀式を講じます。その中で玉祖命(たまのおやのみこと)という神様が八尺瓊勾玉を作り、同じく三種の神器の一つ・八咫鏡と共に賢木の枝に吊り下げ占いを行いました。この後神々が力を合わせた末に天照大神は再び天にお戻りになられました。
ポイント
- 天照大神がお隠れになる⬇︎ 神々の会議八尺瓊勾玉と八咫鏡が作られる
八尺瓊勾玉についてまとめ
呪術的な文様にも使われる勾玉
陰陽道や道教において重要視される宇宙を表す太極紋には勾玉の形が使われています。他にも日本伝統の文様として家紋などに使われる勾玉の形は巴とも呼ばれます。こうして日本人が大切にしてきた勾玉は、神話の時代から特別なパワーがあると信じられ祭祀に用いられてきました。神様の宝・八尺瓊勾玉の実物は誰も見ることは許されません。想像を掻き立てられますね。