ククリヒメの物語
ククリヒメが神話に登場するのは、日本書紀で古事記にはその名を見ることはできません。
記紀の違いを詳しく見ていきましょう。
・古事記では、黄泉比良坂で伊邪那岐を追ってきた伊邪那美が「私はこれから毎日1000人ずつ殺そう」といいます。対して伊邪那岐が「ならば我は1日に1500人産ませよう」と答えたと書き残されています。
・しかし日本書紀では、伊邪那美と伊邪那岐が口論をしているところへ、ククリヒメが現れ、何事かを言うことで、二神を仲直りをさせ、黄泉の国、現世とそれぞれに戻らせることに成功したと記されています。
記紀に残るククリヒメの逸話はこの場面だけとなるためククリヒメの正体は不明な点が多いわけです。ここからはククリヒメが白山の祭神となった伝承を紹介していくことにしましょう。
歌に詠まれた「越のしらやま」白山は、富士、立山と並ぶ日本三名山で、美しさだけでなく豊富な水源をもつ水神、農業神として九頭竜川、手取川、長良川流域に住む人々の信仰を集めていました。
霊峰とされる白山は人が足を踏み入れてはいけない神々の山とされてきましたが、修験道で後に「越の大徳」と呼ばれることになる泰澄(タイチョウ)が開山します。
その泰澄の逸話に、ククリヒメが登場するのです。
北陸で修行をしていた泰澄はあるとき女神の示現(じげん)を受けます。
「われは白山妙理権現である。真の姿が見たければ白山の頂に来たれ」
この言葉に導かれた泰澄は、だれも足を踏み入れたことのない山頂に到達し、「転法輪の岩屋」で祈ると九頭竜が火を噴きながら現れます。
そこで怯まず、泰澄がさらに祈ると、龍は神々しい十一面観音として姿を見せたといいます。
これが白山開山の伝承であり、白山妙理権現こそククリヒメだと伝わっているのです。
ククリヒメのご利益
ククリヒメの神格は和合の神、水神、農業神、山の神、海の神です。
また霊山白山の祭神として、石川、岐阜、福井の守護神とされています。
ご利益としては、
- 五穀豊穣
- 良縁成就
- 子孫繁栄
- 悪縁排除
- 開運招福
- 夫婦円満
- 大漁満足
- 家内安全
伊邪那岐と伊邪那美の仲をとりまとめたことから、縁結び、縁切りのご利益が有名ですが、白山が豊富な水脈をもっていたことから農業、漁師が目印としたことから海の神としても信仰を集めています。
ククリヒメを祀る神社
菊理媛神は、全国3000社ともいわれる白山信仰の祭神です。
その中でも代表的な神社を3つ紹介しましょう。
白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)
全国の白山神社の総本社とされているのが白山比咩神社です。
通称として「しらやまさん」「白山権現」「白山本宮」とも呼ばれています。
標高2702メートルの白山の山麓に鎮座する主祭神を白山比咩大神(菊理媛神)、伊弉諾尊、伊弉諾尊とし、境内にはそれぞれの柱に当てはめられるご神木の三本杉があります。
| 所在地 | 石川県白山市三宮町二105-1 |
| 電話番号 | 076-272-0680 |
大阪守口 白山神社
大阪守口にある白山神社でも、菊理媛神は伊弉諾尊、伊弉冉尊らとともに祭神とされています。
菊理媛神に出自は記述がなく不明となっていますが、白山神社の伝承の中では伊弉諾、伊弉冉の娘、妹としているところがあります。
日本書紀で一文、古事記では登場しない菊理媛神の出自が信仰の中で語り継がれてきたのかもしれません。
| 所在地 | 大阪府守口市大日町2-31-1 |
| 電話番号 | 不明 |
平泉寺白山神社(へいせんじはくさんじんじゃ)
白山信仰の福井の拠点とされているのが、創建約1300年の平泉寺白山神社です。
苔寺といえば京都の西芳寺が有名ですが、ここ平泉寺白山神社も敷地一面が苔に埋め尽くされる見事な光景を見せてくれます。
境内にある御手洗池は白山を開山した泰澄が道中で見つけた伝わる池です。
平泉寺の名前の由来とされている御手洗池、その東側には幹が3つにわかれたご神木の杉があり神秘性を高めています。
また、約1000年前に造られたと伝わる参道は、日本の道100選にも選出されている人気スポットです。
| 所在地 | 福井県勝山市平泉寺町平泉寺56-63 |
| 電話番号 | 0779-88-1591 |
ククリヒメのスピリチュアルメッセージ
ククリヒメの神話やご利益、祀られている神社を紹介してきましたがいかがでしたか?
全国に広がる白山神社の祭神とされている菊理媛神ですが、その信仰の広さとは裏腹に、日本書紀の一文に出てくるだけということもあり、謎の多い神様だといえるでしょう。
ただ、その神話の登場シーンはドラマ性の高い場面だけに、強烈なインパクトを与えてきます。
とくに、なぜ伊邪那岐が納得したのか?その言葉が書かれていないだけに、興味を惹かれる神様です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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