石敢當(いしがんとう)とは?中国伝来の魔除けの石
石敢當(いしがんとう)とは、沖縄などで見かけることができる、魔除けの石碑や石標です。
元々は中国の福建省が発祥とされており、似たような魔除けが台湾、香港、シンガポールなどでも見かけることができます。
石敢當の効果
石敢當には、魔除けの効果があります。
沖縄では似たような魔除けとしてシーサーが有名ですが、建物の門や屋根、高台などで見かけるシーサーとは違い、石敢當は丁字路三叉路などで見かけることができ、そこに溜まった魔物(マジムン)を祓う効果があります。
魔物(マジムン)とは?
魔物(マジムン)は、地元沖縄ではポピュラーな魔物です。
魔物(マジムン)には数多くの種類があり、総じて南方妖怪系のファンキーな姿をしており、特に危険なのが動物の姿をした魔物です。これに股を潜られると死ぬと言い伝えられており、地元では決して彼らに股を潜られてはいけないと言われています。
また、奄美群島の一部では、ハブ(蛇)を魔物(マジムン)と呼んでおり、神の使いとも口承されています。ハブは実在する魔物(マジムン)といえます。
魔物(マジムン)は直進しかできない!?
魔物(マジムン)は道を直進しかできないとされています。そのため、突き当りのある丁字路や三叉路に溜まりやすくなります。
丁字路や三叉路の突き当りに溜まった魔物(マジムン)を祓うために、石敢當が置かれています。
その他の魔物(マジムン)
この他、沖縄各地には様々な魔物(マジムン)が存在します。
沖縄に存在する魔物(マジムン)
- 「アカングワーマジムン」・・・赤ん坊の魔物(マジムン)。動物型同様、四つんばいで人間の股を潜ろうとする。
- 「アフィラーマジムン」・・・片足のないアヒルの魔物(マジムン)。重病人が化けた霊ともいわれる。
- 「ミシゲーマジムン」・・・しゃもじの魔物(マジムン)。古くなった道具の霊。神道の八百万神を思わせる。
- 「ウワーグワーマジムン」・・・豚の魔物(マジムン)。夜道に現われる。
石敢當がある地域
中国発祥の石敢當ですが、沖縄本島やその周辺諸島の他、九州の鹿児島県にも多く存在します。
これには昔、琉球王国が薩摩藩の島津氏への服属していたという歴史的背景があります。
石敢當の種類
沖縄本島、および周辺諸島に点在する様々な石敢當をご紹介していきます。
首里金城の石畳道の石敢當
首里金城の石畳道を歩いていると、至る所で石敢當を見ることができます。観光スポットであることから、比較的見つけやすい石敢當です。
コンビニにも石敢當
沖縄では、コンビニで石敢當を見かけることもできます。
シーサーつきの石敢當
いろんなところにある『石敢當』だけど海洋博の先にあるフクギ並木の前のにはシーサーつきなのです♡レア♡ #nagoict pic.twitter.com/ETFE7AObro— もちゃん (@MamkMoe_) February 21, 2014
沖縄の魔除けとして有名なシーサーですが、そのシーサーがついた石敢當も存在します。
都心近郊にも「石敢當」があった!
意外なところにも石敢當はあります。
実は川崎駅は、知る人ぞ知る石敢當スポットであり、沖縄、鹿児島の次に石敢當を見かけることができます。
これは遡ること大正時代、多くの沖縄出身の女工さんが川崎の会社に招かれたことに由来しています。以降、川崎市と沖縄は親交を深めており、今でも沖縄出身の川崎市民が数多く存在します。
石敢當のまとめ
沖縄の方々は、先祖の霊へ、敬いの念をおろそかにしません。家には火の神(ヒヌカン)祀られてあり、不幸が続いたり、悩みごとがあれば、先ずユタへ相談に行きます。
家を建てるときも、沖縄人は住みやすさよりも、風水や家相を優先します。そのため、不吉な方角や家相になっている部分に、石敢當を設置します。
最近は、デザイン性の高い現代風のものに変わりつつありますが、あちこちで見かけるシーサーはもちろん、石敢當の魔除けも、ただの飾り物ではなく、已然として大切な役割を担っています。
そんな石敢當は、私たちを沖縄のディープな魔除け文化へいざなう、水先案内人と言えるでしょう。
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