ニライカナイの意味とは?
沖縄県や奄美諸島の信仰とは?
ニライカナイは神様が住み、亡くなった先祖の魂が帰り、魂が生まれる場所のことを指します。全ての命にとっての故郷として鹿児島県の離島・奄美諸島や沖縄県で信仰されているあの世または神様の国を示す理想郷です。
語源については「ニライ」は「根の方」を意味すると考える説が有力となっています。根の方といえば日本の古神道におけるあの世「常世国」の概念と似通っているところがあります。一方で「カナイ」は今でも様々な解釈があり、沖縄の古い文化・琉球の言葉に多くみられる意味のない韻を踏むための音とする説、「彼方」を意味する言葉ではないかという説などの解釈があります。
ポイント
ニライカナイのある方角
ニライカナイはどこに?
海に浮かぶ奄美諸島や沖縄では、海は食料などの恵みをもたらしてくれる神聖なものでした。そのために海の向こうには理想郷・ニライカナイがあり、これらの恵みはニライカナイから贈られてくると考えられたのです。ニライカナイがある方角は沖縄や奄美諸島からみて日本列島がある方角とは反対側の東の方角の遠い海の彼方にあると考えられています。それは地上にあるものではなく海の底または地の底にあるために私たちにはたどり着くことができない異界だと信じられています。
ポイント
ニライカナイとオボツカグラの関係
天にある異界・オボツカグラ
オボツカグラとは?
沖縄・奄美諸島にはニライカナイの他にオボツカグラという異界の存在も伝承されています。オボツは「天上」を意味し、カグラは「カミクラ=神座」と解釈され、神様のいる場所を意味していると考えられています。つまりオボツカグラとは「天の上にある神の国」のことです。
ニライカナイとオボツカグラ
ニライカナイは東の方角、つまり横に向かう異界信仰ですがオボツカグラは天を指し上に向かう信仰です。上に向かう信仰は上下関係を生み出し、力のあるものとないものを区別します。このことからオボツカグラは古い琉球王朝の権力者が権威の象徴として使用した信仰であろうと考えられています。琉球王朝が消滅した現代ではオボツカグラの信仰は徐々に衰退し、今では民間信仰として広まっていたニライカナイの方が広く知られるようになりました。
ポイント
- ⬇︎⬆︎オボツカグラ=上の信仰(権力者)
ニライカナイについてまとめ
海に囲まれた沖縄や奄美諸島では、その海から贈られる恵みに感謝をしてその先に理想郷があると信じられるようになりました。全ての命が生まれる場所、還る場所。ニライカナイを信仰する人々は東に向かって祈りを捧げます。自然や命に感謝する美しい信仰です。
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