科学的調査による分析
- 1978年‐科学調査
この科学調査では聖骸布に残る血が確かに人間のものであり、AB型の人物であることが証明されました。また足、膝、鼻などにエルサレムの土・アラゴナイトが付着していました。
- 1988年‐年代測定調査
放射性炭素年代測定法という、物質に残る炭素の量から聖骸布の年代を測定する調査が行われました。炭素年代測定法は考古学の分野でも使われる年代測定法です。結果この布が織られた時期は1260年から1390年であるとの結果が出ました。紀元前の人物であるイエス・キリストの年代とは一致しません。よって聖骸布は中世に作られた贋作であるとされました。
- 1995年‐年代測定に対する批判
年代測定によって贋作といわれていた聖骸布ですが、年代測定は間違っていたのではないかと疑問の声があがりました。カリフォルニア州サン・アントニオ大学の調査で聖骸布の糸につくバクテリアがプラスティック素材の膜を生成していることがわかったのです。炭素の残存量による分析ですから他の物質が生成されているとなると正確性に欠けます。また年代測定に使った部分は過去の火災で欠損した箇所を補強した部分を使っていたことも繊維の成分分析により明らかになりました。中世の贋作という説は白紙に戻されてしまったのです。
- 2015年‐布に付着する花粉のDNA調査
最新のDNA調査により聖骸布についた花粉はエルサレム周辺地域のものだけでなく、東南アジア・中国・南米・北米など世界中のものが付着しているとわかりました。ヨーロッパ諸国が新大陸としてアメリカを発見するより以前のものである聖骸布に、なぜアメリカ大陸原産の花粉が付着していたのか。一説では教会で保管されていた際に世界中から訪れる参拝者と共に花粉が付着したのではともされますが、さらなる謎が深まった調査です。
- 2017年‐最新の血液調査
聖骸布に残る血痕をナノレベルで分析したところ、拷問などの過度な外傷を受けた人の血液中にのみ生成される物質が確認されました。この物質は通常の人の血液に生じるものではなく、さらに人工的に生成することもできない物質です。聖骸布の男性は物理的な暴行で亡くなったのだという明確な証拠の発見に、やはり聖骸布は本物なのではという流れが強まりました。
- 2018年‐最新の血痕分析
聖骸布のシミが血痕であると仮定して、血痕分析と呼ばれる血の流れ方、血痕の付着の仕方を分析する調査が行われました。実際に被験者を用いて十字架に磔にされた場合と布に仰向けに横になった場合にどのように血痕が残るのか実験が行われました。鑑定されたのは左手、前腕、脇腹の血痕です。その結果、布に仰向けになった場合の血痕と聖骸布に残る血痕は一致しないことが判明しました。十字架に磔にされた場合のデータは血の流れ方に一貫性がなく裏付けが取れないようですが、血痕は仰向けになった状態でついたものではないことがわかりました。
男性像はジャック・ド・モレー?
中世のキリスト教修道会・第23代テンプル騎士団総長であったジャック・ド・モレーが男性像の正体なのではないかという説が一部で有力視されています。彼の生涯には謎が多いのですが、騎士団の資産目当てに異端者の濡れ衣を着せられ火刑にあったとされる人物です。彼の肖像画と男性像が似ているという意見や、男性像が当時のパレスチナ人の特徴より白人の特徴をした面立ちであるという指摘がこの説の主張です。また聖骸布が発見されたシャルニー家はド・モレーとゆかりのある家柄であること、のちに否定された最初の年代測定の年代と同年代の人物であることもこと説を後押ししています。火刑されたというのも疑問の声があり、火刑ではなかったとしたら様々な疑問点が解消される可能性もあります。ただし物的証拠がないのが現状です。
ポイント
- 偽物であるとする主張
- 本物であるとする主張


