関東三十六不動霊場
大山寺
関東三十六不動霊場が成立したのは昭和62(1987)年です。四国八十八か所にならって、神奈川県7カ所を発心の道場、東京都19カ所を修行の道場、埼玉県5カ所を菩提の道場、千葉県5カ所を涅槃の道場を設定していますが、不動さま巡りでは、巡拝する順番や結願を迎える場所は自由に選べます。全行程を消化するには7~10回、延べ日数で8~10日くらいかかるでしょう。
関東は歴史的に不動信仰が盛んな地域で、民衆の熱意が高名な霊場を育んできました。特に人気があった霊場は、目黒不動、成田山新勝寺の成田不動、日野の高幡(たかはた)不動、相模の大山詣です。関東三不動といえば、成田山、高幡、大山、不動ケ岡の名が挙がり、関東三山には、成田山、川崎大師、高尾山が連なります。
成田山の古今の戦略には見るべきものがあります。江戸時代には成田不動が安産、海上安全、難病治癒に効力がある点をアピールし、町人、農民、武士と信者の層を拡大しました。江戸の庶民にとって成田詣では往復3日を要する敬虔なる行楽でした。本尊が江戸に出張する江戸出開帳は好評となり、初回の1703年から明治維新まで10回ほど行われたのです。また、ご利益に感謝した初代市川団十郎が不動尊や不動明王を題材に興行したことも手伝い、江戸町民の生活に浸透していきました。
現代の同山は交通安全祈願と一体化した「成田山」で、全国的に知られた不動尊の寺院となっています。また、大本堂では不動明王に接近したお参りができ、薪を燃やす御護摩祈祷(おごまきとう)では開運祈願、護摩火で持ち物を浄化する火加持(ひかじ)では財布やカバンをかざして防火のご利益が得られ、パワースポットとして訴求しています。
五色不動尊の意味
五色不動尊の目黒不動(瀧泉寺)、目白不動(金乗院)、目赤不動(南谷寺)、目青不動(教学院)、目黄不動(永久寺)、目黄不動(最勝寺)が、東西南北中央の五方角と五色を合わせています。徳川家光の代に江戸を護るため五不動を置いたとする説ですが、青の江戸城を中心に、黄の最勝寺は水戸街道沿い、黄の永久寺は日光街道、赤は中山道、白は甲州街道、黒は東海道の近くにあると見立てています。現在も五不動は親しまれている存在です。
関東三十六不動霊場
- 発心の道場(お参りできる喜び)
- 修行の道場(毎日の生活も修行)
- 菩提の道場(今ある命の喜びをお不動さまと共に)
- 涅槃の道場(お参りにより迷いのない日々が待つ)
近畿三十六不動霊場
聖護院の山伏行列
弘法大師が種をまいた不動尊信仰は、近畿地方(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)に根をおろしました。三十六不動霊場が他の地域に先行したのは、ある意味で当然かもしれません。
寺院の選定では宗派が多様である点、ある程度の寺暦の古さや交通の便が配慮され、戦災の被害を受けた寺院が少なからずある点に特徴が見られます。
不動については、黄不動(滋賀県・園城寺・不動明王像)、青不動(京都府・青蓮院・不動明王二童子像)、赤不動(和歌山県・高野山明王院・不動明王二童子像)の美術的にもすぐれた国宝級から素朴な水かけ不動や石仏まで、幅広く選んでいます。そのいずれに対しても、民衆は熱心な信仰心を注いだのでした。
近畿三十六不動霊場
- 1.四天王寺 (大阪府) 亀井不動 苔むす水かけ不動尊の他同寺に5体、28日は不動尊供。2.清水寺 (大阪府) 大聖不動 霊験あらたかな玉出の滝、その奥の石窟に石像が安置。3.法楽寺 (大阪府) 大聖不動明王 たなべ不動尊大祭を1月、5月、9月の28日に行う。4.京善寺 (大阪府) 除厄不動 身代り厄除けの桑津の不動さん、一願のお不動さんも。5.報恩院 (大阪府) 北向不動尊 高津(こうづ)の北向不動、毎月1日の大護摩供で厄除。6.太融寺 (大阪府) 一願不動 一願成就の霊助ある不動、5月28日柴燈大護摩を行う。7.国分寺 (大阪府) みのり不動尊 厄除けの水かけ不動も。秋分の日に百万枚大護摩供。8.不動寺 (大阪府) 五大力不動尊 11月3日に柴燈大護摩供と火壇勧頂(火わたり)を行う。9.大龍寺 (兵庫県) 再度不動尊 弘法大師作と伝わる亀の岩、1月・7月中風除け祈祷。10.無動寺 (兵庫県) 身代不動 藤原初期の不動明王、大日如来など重文5体。11.鏑射寺 (兵庫県) 梵字 聖徳太子が寺に命名。弘法大師の井戸、古代のハスも。12.安岡寺 (大阪府) 弘紹不動 弘法大師作と伝わる不動尊、2月1日大護摩供。13.大覚寺門跡 (京都府) 五大明王 五大堂の五代明王像は重文、仲秋に「観月の夕べ」。14.仁和寺 (京都府) 水掛不動尊 石仏の水かけ不動、御室桜の桜まつりが親しまれる。15.蓮華寺 (京都府) 五智不動尊 4月28日五智不動尊大祭、土用丑の日きゅうり封じ。16.三千院 (京都府) 金色不動尊 金色不動堂の秘仏、金色不動尊は4月28日に開扉。17.曼殊院門跡 (京都府) 国宝の黄不動明王像(黄不動)と名勝の庭園。18.聖護院門跡 (京都府) 梵字 修験宗のメッカで8月に山伏行列、重文の不動明王像。19.青蓮院門跡 (京都府) 青不動 絹本着色の青不動明王は国宝。毎月満月に護摩供。20.智積院 (京都府) 知恵不動 木造坐像の不動明王と国宝の障壁画、名勝庭園。21.中山寺 (兵庫県) 五大尊 豊臣秀頼が再建した護摩堂に五大明王を祀る。22.不動院 (京都府) 一願不動 秘仏の北向きのお不動さん、1月16日の護摩の時開扉。23.上醍醐寺 (京都府) 五大力尊 2月23日に盗難除け、災難除けの御影を授与。24.岩屋寺 (京都府) 大聖不動尊 秘仏、不動明王像は12月14日~1月28日に開扉。25.円満院門跡 (滋賀県) 毎月第2日曜と28日、金色不動明王の護摩供を行う。26.無動寺明王堂 (滋賀県) 不動尊 不動明王像は6月23日明王講曼荼羅供法要で開扉。27.葛川息障明王院 (滋賀県) 明王殿 寄木内刳彩色の不動明王像は8月28日に開帳。28.明王院 (大阪府) 本尊不動明王 黒漆塗りの成田不動尊。2月5~28日厄除け祈願大祭。29.宝山寺 (奈良県) 不動明王 生駒の聖天さんと親しまれる、本尊は不動明王様。30.如意輪寺 (奈良県) 難切不動尊 難儀から救ってくださる大きな石像の不動明王様。31.龍泉寺 (奈良県) 一願不動 本尊の弥勒菩薩と共に本尊に安置される一願不動。32.瀧谷不動明王寺 (大阪府) 瀧谷不動 目の不動、芽の出る不動の別名で眼病平癒や開運。33.七宝瀧寺 (大阪府) 大瀧不動 修験道の山、本尊の倶利伽羅大龍不動明王は願望成就。34.根来寺 (和歌山県) 身代り不動 錐鑽(きりもみ)不動尊は1月・8月の28日に開帳。35.明王院 (和歌山県) 赤不動 高野山の赤不動様は4月28日晴天のみ開帳。36.南院 (和歌山県) 波切不動 総本家の波切不動尊、6月28日に開帳。


