ラビとは?ユダヤ教の指導者の呼び名
ラビとは?ユダヤ教の指導者の呼び名
ラビとはいったい誰のことなのか、あなたはご存知でしょうか?
ラビとは、ユダヤ教を指導する立場にある人のことを指します。
また、ラビは敬称でもあり、「ラビ・○○(人名)」というような使い方もします。
歴史を見てみると、ラビは優秀な学者という一面も持ち、ユダヤ民族にとって大切な存在であります。
ラビの由来
ラビの由来とは?
ラビという言葉の由来は、ヘブライ語で「我が師」や「我が主」を表す「rabbi(ラッビー)」というところから来ています。
紀元前5世紀から紀元後7世紀のあいだ、ラビは旧約聖書の律法の学者を表す言葉でした。
また、紀元前1世紀から紀元後7世紀は、ラビは生活するために別の仕事をしながら律法を研究し、無償で人々に伝える立場にありました。
ラビが職業的な役割を果たすようになるのは、16世紀以降のことです。
ユダヤ教を人々に指導する立場にあることから、ラビは次第にユダヤ民族のあいだでは中心的な存在となっていきます。
ポイント
- ラビの語源はヘブライ語で「我が師」や「我が主」を表す「rabbi(ラッビー)」です。
- ラビは旧約聖書の律法の学者を表す言葉でした。
女性のラビ
女性のラビとは?
本来、ラビは誰でもなれる訳ではなく、男性のみラビとなることが許されていました。
しかし、1930年代のドイツ・ベルリンにあるラビ養成学校で、一人の女性がラビの資格を得ます。
ところが、当時権力を握っていたナチスにより、彼女は殺されてしまいます。
その後1960年代、フェミニズムの声が世間で高まるにつれ、女性にもラビの資格が与えられる権利を要求する運動が巻き起こります。
そして、1970年代以降には、アメリカ・イギリスなどの改革派や保守派が女性にもラビの資格を与えるようになります。
しかし、正統派の間では未だに女性のラビを疑問視する意見は多く、審議がなされています。
ポイント
- 1970年代以降は改革派や保守派が女性にもラビの資格を与えるようになりました。
- 正統派では現在も女性にラビの資格を与えるべきか審議の対象となっています。
ユダヤ教の主流派「ラビ・ユダヤ教」
ユダヤ教の主流派「ラビ・ユダヤ教」とは?
「ラビ・ユダヤ教」とは、ユダヤ教の多数を占める主流の宗派のことで、一般的にユダヤ教というとこの宗派を指すことが多いです。
モーセが伝えた口伝の律法であるタルムードをはじめとしたラビ文献を経典とし、さらにラビの教えなどを中心としたユダヤ教のため、「ラビ・ユダヤ教」と呼ばれています。
なお、ラビ・ユダヤ教は、新約聖書の文献では、ファリサイ(パリサイ)派と表記されています。
ポイント
- 一般的にユダヤ教と呼ぶ宗派は、厳密には「ラビ・ユダヤ教」のことです。
- ラビ・ユダヤ教は新約聖書ではファリサイ(パリサイ)派と表記されています。
ラビについてまとめ
ラビとは、紀元前5世紀からの長い歴史を持つ、ユダヤ教における指導者的立場にある人のことを指します。
ラビという概念が生まれた当初は、律法の学者としての色が強かったラビですが、時代を経るとともにユダヤ教の中心的存在となっていきます。
女性のラビが受け入れられ始めたのは1970年代のことで、まだまだ歴史が浅いと言えます。