福禄寿とは?
福禄寿(ふくろくじゅ)とは、七福神の一人で、好々爺(こうこうや。意味:人の良さそうな気のいいお爺さん)の姿をしている神様です。
読み方
福禄寿の読み方は、「ふくろくじゅ」です。
また福禄人(ふくろくじん)とも呼ばれています。
どんな神様?
福禄寿は、中国の三大宗教の一つ、道教の中の三徳である、幸福、封禄、長寿を具現化した神様です。
道教の三徳の意味
- 幸福:血のつながった子どもに恵まれること。
- 封禄:財産のこと。
- 長寿:ただの長生きではなく、健康を伴った長寿のこと。
また福禄寿は、宋の道士、天南星の化身や南極星の化身(南極老人)と同一であるとも言われています。
容姿としては、背が背が低く、長い頭に長い髭を生やし、杖に経巻を結び、鶴を連れた好々爺の姿をしています。
福・禄・寿 三星信仰について
福禄寿は、福星、禄星、寿星の三星を神格化した三体一組の神様です。
中国の明の時代から、広く民衆の間で信仰されており、現在でも春節には「福・禄・寿」を描いた「三星図」を飾る風習があります。
三星図は、様々な形態で書かれ、人の姿ではなくどちらかというと、意味や音韻に関連性のある象徴物として書かれることが多く、バリエーションも多岐にわたります。
ここでは、福星、禄星、寿星についてそれぞれ詳しくご紹介します。
福星
福星は、木星を表しているとされ、主に裕福な官服を着た黒髪の姿で、真ん中描かれることが多いです。
禄星
禄星は、「禄」の字が「緑」と同じ読み方であることから、緑色の服装で、豊かさを表す金銭や3歳くらいの子どもを抱いた姿で描かれることが多いです。
寿星
寿星は、南極老人星(カノープス)を表しているとされ、禿げた頭の長い白い髭を生やした老人の姿で描かれることが多いです。
福禄寿は七福神の一人
福禄寿は、七福神の一人としても数えられています。
名前 | 読み方 | 主なご利益 |
---|---|---|
弁財天 | べんざいてん | 紅一点の七福神。財運や芸事にご利益がある。 |
恵比寿 | えびす | 漁業を司る神様であり、唯一の日本由来の神様。 |
大黒天 | だいこくてん | インドのヒンドゥー教シバ神の化身マハーカーラ神。食物や財福を司る。 |
毘沙門天 | びしゃもんてん | 元々は、インドのヒンドゥー教のクーベラ神。戦いの神様。 |
寿老人 | じゅろうじん | 福禄寿と同一とされており、長寿と福禄をもたらす神様。 |
布袋 | ほてい | 唐の明州に実在したとされる禅僧。弥勒菩薩の化身とされている。 |
そんな七福神の中には、福禄寿と同じように老人の姿をした寿老人という神様もいます。
ここでは福禄寿と寿老人の見分け方についてご紹介します。
寿老人との見分け方について!
福禄寿と寿老人は、同じように老人の姿をしていますが、持っている物と連れている動物で、見分けることができます。
持っている物 | 連れている動物 | |
---|---|---|
福禄寿 | 経巻の付いた杖と宝珠 | 鶴 |
寿老人 | 経巻の付いた杖とうちわや桃 | 鹿(鶴も連れている場合もある) |
福禄寿のご利益
主なご利益
福禄寿には、以下のご利益があるとされています。
- 財運招福(金運のこと)
- 延命長寿(健康を伴った長生きのこと)
- 立身出世(出世のこと)
- 子孫繁栄(血のつながった子どもに恵まれること)
- 招徳人望(人望のこと)
- 富貴栄達(財産を持った高い身分として、栄えること)
特に延命長寿や立身出世にご利益があることで有名です。
伝承・逸話
福禄寿には中国で以下のような伝承・逸話があります。
嘉祐8年(1063年)、北宋の仁宗皇帝時代の都に一人の老人が占いを始め、評判になりました。
またその老人は、大変な酒豪であることでも知られ、占いで稼いだお金をすべてお酒に費やすほどでした。
噂を耳にした仁宗皇帝はある日、その老人を宮廷に招き、一緒にお酒を酌み交わします。
何となく皇帝がその老人に歳を尋ねると、老人は「黄河が澄むのを度々見たことがある」と答え、ぐびぐびとお酒を飲み干し、突然立ち上がって、ふらふらと宮廷を出ていきました。
そこで、皇帝はこの老人が数千年も生きていることを悟りました。というのも、中国の黄河は常に濁っていますが、数千年に一度だけ澄み渡るという伝説があるからです。
その翌日、天文台の長から「帝座の近くにあったはずの寿星(南極老人星)が突如姿を消しました」と報告が入ります。
仁宗皇帝は、数千年生きていること、寿星が姿を消したことから、あの老人は寿星の化身である、福禄寿であることを知ったのです。
また、似たような伝説も残っています。
同じく北宋時代に、身長が90センチほどの小柄で、二頭身の好々爺が都が現れました。
その好々爺もまた占いをし、大変に大酒飲みで、その稼ぎをお酒に費やしていました。
そして、この好々爺は、自ら寿星の化身であることを吹聴し、「われは寿命を益する聖人である」と称したされています。
いずれも、寿星の化身とは、福禄寿のことを指すことから、福禄寿は占いができ、大酒飲みであることもわかります。
福禄寿のご真言
福禄寿の真言は、「オン・マカシリ・ソワカ」です。
これを唱えることで、延命長寿や立身出世にご利益があるとされています。
福禄寿を祀る神社・寺院
赤山禅院(京都)
京都の七福神参りで有名な寺院であり、「都七福神」の一つとなっているのが赤山禅院(せきざんぜんいん)です。
京都御所から見て、表鬼門の方角(東北)に当たることから、方厄除けとして信仰があります。
延命長寿、商売繁盛、健康、除災にご利益があり、また紅葉の名所としても有名です。
[アクセス]
〒606-8511
京都府京都市左京区修学院開根坊町18
叡山電鉄叡山本線修学院駅より徒歩20分
京都市営バス5・31・65系統「修学院離宮道」より徒歩20分
東覚寺(東京)
東覚寺(とうがくじ)は、東京で最も古い七福神巡りである、「谷中七福神」の一つで、福禄寿を祀っています。
山門には体中に赤紙が貼られた、「赤紙仁王」と呼ばれる金剛力士像があり、その赤紙仁王の身体で、自分の身体の悪いところに赤紙を貼ると、よくなると言われています。
[アクセス]
〒114-0014
東京都北区田端2-7-3
JR線田端駅より徒歩6分(駐車場なし)