「スサノオ」とは?
スサノオとは、アマテラスオオミカミの弟でありクシナダヒメの夫で、荒ぶる神として知られる日本の神様です。
さまざまな性格を持ち合わせており、はじめのうちは日常的に高天原に住む人々や神殿、田んぼにいたずらをすることがありました。しかし、次第にエスカレートした行動で、周囲に申し訳なさを感じた姉・アマテラスオオミカミを天岩戸といわれる洞窟に引きこもらせてしまったこともあります(天岩戸隠れ)。
そのような行動の傍ら、亡くなった母・イザナミに会いたいと泣きわめいて、統治の命を断ってしまったこともあり、それに怒った父・イザナギに追放(神逐)されてしまいました。さらに詳細は後述しますが、巨大な化け物の生贄になっていた女神を救いだす勇敢さも兼ね備えています。
「スサノオ」の別名
- 古事記:建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)・速須佐之男命・須佐之男命
- 日本書記:素戔男尊・素戔嗚尊等・須佐乃袁尊
- 出雲国風土記:神須佐能袁命(カムスサノオノミコト)・須佐能乎命
ご利益
スサノオの主なご利益は次の通りです。
- 魔除け
- 水難除け
- 火難除け
- 病難除去
- 縁結び
- 家内安全
- 子孫繁栄
- 五穀豊穣
- 商売繁盛
- 病気平癒
- 学問上達
ご神格
スサノオのご神格は次の通りです。
- 海神
- 嵐神
- 農耕神
- 軍神
- 和歌の神(学問の神といわれるゆえん)
- 幽界・冥府の神
古事記に登場する「スサノオ」
古事記に登場するスサノオは、父・イザナギが穢れを落とすために行った禊で鼻をすすいだ際に誕生した神として登場します。
母・イザナミがヒノカグツチを生んだことにより、やけどを負って亡くなります。その後、父・イザナギは愛する妻に会いたい一心で黄泉の国(死者の世界)に行きました。そこから帰還した際に行った禊でスサノオが誕生します。
アマテラスの弟?
スサノオの姉はアマテラスオオミカミだと伝えられています。
前述した通り、スサノオは父・イザナギが黄泉の国から帰還して行った禊で鼻をすすいだ際に誕生しましたが、その前に左目からアマテラスオオミカミ、右目からツクヨミが誕生しています(三柱合わせて「三貴子」という)。後に姉とスサノオの間に宗像三女神という三柱の女神が誕生しました。
日本には八百万の神々があらせられますが、中でも八幡神といい、応神天皇を主神として、その母・神功皇后と姫神を祀ることがあります。その姫神は宗像三女神を指します。
子孫がオオクニヌシ?
スサノオの子孫にオオクニヌシがいるという神話があります。
オオクニヌシは国津神(日本の国土を治めていたとされる土着の神)で、中でも主宰神とされます。スサノオからみて6代または7代後の孫にあたる説や、息子であるという説もあります。
息子である場合、親子揃って出雲王朝を建国したと伝えられています。
牛頭天王と同一視?
スサノオは、牛頭天王(ごずてんのう)と同一視することがあります。
奈良時代初期に編纂された書物、備後国風土記中の「蘇民将来」に登場し、祇園社の武塔神とされます。牛頭天王は日本において神仏習合の神であり、お釈迦様の生誕地・祇園精舎の守護神とされます。
二柱を同一神としてみて、祀る神社も多くあります。
ヤマタノオロチを退治
スサノオはヤマタノオロチを退治したと伝えれられています。
本来は山神や水神であり、日本書記では「八岐大蛇」と、古事記では「八俣遠呂智」と表記します。8つの頭と8本の尾を持っており、スサノオが父に国を追放されて向かった出雲国肥河の上流(現・奥出雲町鳥上)にて遭遇しました。川を上ると泣いている美しい女神と老夫婦がおり、女神の名をクシナダヒメ、老夫婦の名をアシナヅチとテナヅチといいました。
夫婦の間には8人の娘がいましたが、年に一度ヤマタノオロチが現れ、娘たちを食べていったといいます。この時期はヤマタノオロチが現れる時期で、最後に残った末娘を失う恐ろしさから泣いていたのです。スサノオはその女神との結婚を条件に退治することを請け負い、女神を一時的に櫛へ変えて自らの髪へさし、無事に退治成功を収めました。
ヤマトタケルとの違いは?
ヤマトタケルはスサノオの生まれ変わり(再生神)ともいわれます。
ヤマトタケルは第13代天皇で、実在していたかは分かっていません。お二方の共通する言い伝えの違いは、次の通りです。
スサノオ | ヤマトタケル |
父からの統治の命を母に会いたいと拒否し、国を追放される | 兄を誤って殺し、父から恐れられ、九州へ熊襲討伐を命ぜられる |
結婚前の妻を櫛に変えて自らの髪にさし、ヤマタノオロチと戦って勝利した | 海に身投げした妻・オトタチバナの櫛を見つけて悲しみに暮れる |