豊玉姫(トヨタマヒメ)は海の神様オオワダツミの娘で、海や水の神様です。
また神武天皇の祖母であり、叔母でもあります。
一見複雑な家系のようにも思えますが、そこには悲しみと深い愛の物語があります。
この記事では、トヨタマヒメとはどんな神様なのか、物語や御利益などさまざまな観点から解説させていただきます。
豊玉姫(トヨタマヒメ)とは?
トヨタマヒメは兄の釣り針を探しに来たホオリノミコト(山幸彦)に一目惚れし、結婚します。
地上で息子ウガヤフキアエズを出産しますが、本当の姿を見られてしまい、涙をのんで別離の道を歩むことになりました。
トヨタマヒメは海の神様オオワダツミの娘で、航海の安全や大漁、縁結びや子授けのご利益があるとされています。玉は神霊を、豊は多い、満ちているという意味なので巫女の力を持つ女神様ということになります。
またトヨタマヒメ自身も玉のように美しい女神であったことから、美形の子が生まれる、あるいは美肌にご利益があることから、特に女性からの信仰が厚い神様です。
トヨタマヒメの別称
トヨタマヒメは以下のような別称でも呼ばれています。
- 豊玉毘売
- 豊玉毘売命
トヨタマヒメの物語
トヨタマヒメには、邇邇芸命(ニニギノミコト)の息子であるホオリノミコトとの深い愛の物語があります。
ホオリノミコトとの出会いと結末について解説していきます。
トヨタマヒメとホオリノミコトの出会い
トヨタマヒメは日本神話が描かれている「古事記」や「日本書紀」に登場します。
天照大御神(アマテラスオオミカミ)の孫、ニニギノミコトの息子であるホオリノミコトは兄の釣り針を無くしてしまい、シオヅチという神様に海へ探しに行くようアドバイスをうけ、籠の小船を作ってもらい海へと向かいます。
そこには海の神様オオワダツミの宮殿があり、その近くの井戸で女性に出会いました。その女性はオオワダツミの娘トヨタマヒメの侍女で、立派な男性が宮殿の近くに来ているとヒメに報告しました。
それに興味を持ったトヨタマヒメはホオリノミコトをこっそりと見に行き、一目惚れします。
トヨタマヒメは父であるオオワダツミに相談し、ホオリノミコトが貴い御子だと見抜いたオオワダツミのすすめもあって2人は無事結婚します。
そこから3年が過ぎ、ホオリノミコトは故郷が懐かしくなってため息をついていました。それを心配したトヨタマヒメの進言もあって、無事鯛から兄の釣り針が見つかり、ホオリノミコトは地上へと帰っていきます。