掃晴娘(さおちんにゃん)
中国のてるてる坊主の起源は、「掃晴娘(さおちんにゃん)」と呼ばれる女性の話です。昔あるところに、晴娘(ちんにゃん)と呼ばれる手先が器用で美しい娘がいました。娘はその手先の器用さから紙切りを得意としており、作った作品は皇宮の后妃・公主達も晴娘が作った作品を買い求めるほどだったといいます。
ある年、晴娘の住む場所で雨が続いたため洪水が起こりました。そこで長雨を止めるにはどうすればよいのかと晴娘が悩んでいると、どこからか「命を差し出せば雨は止む。反対に拒めば更なる大災害が訪れるだろう」と声が聞こえます。晴娘は神様の導きだと思い素直に命を差し出すと、何をしても止まなかった雨が止んだそうです。
後に、雨が止んだ理由を知った周囲の人々は晴娘を偲び、雲をほうきではいたように晴れさせるという意味で掃(さお)の字を名前に付け加えて「掃晴娘(さおちんにゃん)」と呼び、てるてる坊主のような紙人形を作るようになったといわれています。
雨の神である龍神の妃になった説もある
掃晴娘(さおちんにゃん)の話も諸説あり、中には晴娘(ちんにゃん)が聞いた天の声は、命を捧げよというものではなく、「東海龍王が太子の妃にと希望している。従わない場合は地に破滅が訪れるだろう」というものだったと説もあります。
どちらにせよ、晴娘が人柱となったために、長雨から解放されたのです。
てるてる坊主の童謡に隠された恐怖とは?
雨が降ると幼少期に「てるてる坊主」の童謡を歌った記憶のある人も多いでしょう。懐かしさを感じるてるてる坊主の歌ですが、童謡の歌詞には隠された理由や当時の時代背景が色濃く反映されているケースも珍しくありません。
てるてる坊主の童謡は、一見するとほのぼのするの童謡ですが、実は3番目に恐怖のフレーズが隠されています。幼少期はしっかりと全て覚えていたけれど、もう覚えていない人のために、てるてる坊主の歌詞をご紹介しましょう。
1番:てるてる坊主 てる坊主 あした天気にしておくれ
いつかの夢の空のよに 晴れたら金の鈴あげよ
2番:てるてる坊主 てる坊主 あした天気にしておくれ
わたしの願いを聞いたなら あまいお酒をたんと飲みましょ
3番:てるてる坊主 てる坊主 あした天気にしておくれ
それでも曇って泣いてたら そなたの首をチョンと切るぞ
1番と2番の歌詞は特に問題ありませんが、3番の歌詞には「そなたの首をチョンと切るぞ」というフレーズが入っていますよね。てるてる坊主の由来については、中国の掃晴娘と日本のお坊さんの話が有力ですが、首をチョンと切るというのは、日本のお坊さんの話を彷彿させます。
このことから、てるてる坊主の歌は恐怖の童謡ともいわれるようになりました。
作詞者、浅原六朗の意図とは?
てるてる坊主の童謡は、3番の歌詞から一部では怖い歌とささやかれていますが、てるてる坊主の童謡を作った作詞者の浅原六郎の意図とは、どのようなものだったのでしょうか。
存命ではないので確かな真意を知ることはできませんが、浅原六郎の出身地(長野県池田町)にある「てるてる坊主の館(浅原六朗文学記念館)」では、浅原六郎の気持ちを推測し紹介しています。
3番の最後のフレーズに、「そなたの首をチョンと切るぞ」と童謡らしからぬ残酷なフレーズが入っていますが、これは「それほどまでに懇願しているのだから、どうか叶えて欲しい」という意味が込められているそうです。どうしても晴れて欲しいという強い気持ちを、浅原六郎が自身の心情やセンスを独自に表現した形が脅しだったのでした。
幻の1番が存在した!?
てるてる坊主の童謡は、3番までと思っている人が大部分でしょう。しかし、てるてる坊主の歌には幻の1番が存在していたのです。通常の1番は、以下の通りですよね。
1番:てるてる坊主 てる坊主 あした天気にしておくれ
いつかの夢の空のよに 晴れたら金の鈴あげよ
しかし、本当の1番は、次の通りです。
1番:てるてる坊主 てる坊主 あした天気にしておくれ
もしも曇って泣いてたら 空をながめてみんな泣こう
本来ならば、4番目まで歌詞があったてるてる坊主ですが、作曲者によって1番目が丸ごと削除されてしまったため、現在のてるてる坊主の歌が3番目までとなっています。なぜ、1番目が丸ごと削除されてしまったのかについては、情報が残っていないため不明です。


