逆柱が施された建築
逆柱が施された建物として日光東照宮の陽明門が著名です。建物が完成と同時に崩れ行くという言い伝えを巧く利用した建築方法ですが、鎌倉時代の随筆家・吉田兼好も「完璧なものは良くない」として次のように記しています。
上記の現代語訳は「完成形というものはそこで命が尽きてよくない、やり残した部分をそのままにしておくと将来までつなげることができるし(人間らしくて)趣がある。皇居の改築のときにも必ず造り残している部分があると、と誰かが言っていた。そういえば昔の偉人の記した文章でも抜けている段落がある」です。
皇居の改築においても、敢えて「未完」の部分をのこしていたこと、さらにそれを「未完成であるからこそ可能性が秘められている」ので良いとしていたことが窺えます。この考え先のことわざ「満つれば欠くる世の習い」に通じるでしょう。
最近では、オーソドックスの木造建築の逆柱のみならず、敢えてタイルの模様をずらすなど「逆柱的なもの」が施された家もあるようです。
まとめ
逆柱はもともとポルターガイスト現象や家運低下などもたらす不吉なものとして捉えられていましたが、一方で日光東照宮の陽明門においては、逆柱は魔除けになるものとしてわざわざ取り入れました。
魔除けとされた理由は、「満つれば欠くる世の習い」⇒「建物は完成と同時に崩壊が始まる」という伝承を頓智をきかせて巧く利用し、逆柱がある建物は未完成であるからいつまでも崩れないとしたからです。
未完成であることに美を見出すことは、私たちの生きる姿勢にも通じるものがあります。完成を追い求めて成長し続ける人間の美学を、逆柱は教えてくれているのかもしれません。


