火之迦具土神の物語
火之迦具土神は、生まれた瞬間に母であるイザナミを殺してしまい、父に殺されてしまうという悲劇的な物語の持ち主です。
しかし一方で、火之迦具土神の死によってさまざまな神が生まれます。
現実でも火は、激しいものであれば人を死に追いやることができるだけの威力をもっています。しかし人の営みの中で、火が重要なのは言うまでもありません。
食事を作る際にも火を使いますし、体も温めてくれます。また、火によって生まれるものもあります。
生と死を物語る火之迦具土神の生誕
神産みの中で、ほぼ最後に産まれるのが火之迦具土神になります。なぜ最後になるか?といえば、それは火之迦具土神を出産したことで、母の伊邪那美が陰部に火傷を負い死んでしまうからです。
このイザナミの死に心を痛めたイザナギは、十拳剣で火之迦具土神を殺してしまいます。
生まれることで母のイザナミを傷つけ、その死によってイザナギの心を悲しみで切り裂いてしまった火之迦具土神の物語は、ここまでだと救いがないように読めるでしょう。
現代でも火によって、失われる命があります。
その理由はさまざまですが、みずからの炎で母の伊邪那美を死なせてしまった火之迦具土神が意識的にやったことではありません。
一方、火之迦具土神を切り裂いた伊邪那岐は感情を抑えきれず殺すという行為を起こしています。
火の恐さは意思でどうなるものでもないという意味があるのだと思われます。しかし、火はすべてを焼き尽くすだけでなく、生み出す力ももっています。
それを表すのが火之迦具土神の死によって生まれた、16柱です。
斬られた火之迦具土神を切った十拳剣の刀身から落ちた血から、建御雷之男神をはじめとした6柱の神が生まれます。
さらに刀の柄から落ちた血からは、2柱が生成されるのです。また、火之迦具土神の屍からも8柱の神が生まれます。
火之迦具土神は生まれてすぐに命を絶たれますが、岩、火、雷、雨の神々と山の神を残すのです。
これこそ、火がもつ生み出す力だといえるでしょう。
火之迦具土神の神話は、死だけにスポットを当てているわけではありません。火の恐さと有益な面を知り、危険であることを知って使うことの大切さを教えてくれています。
それに加えて、限りある命の中で、なにを残していけばいいか…といった哲学的な読み方もできるのです。
火之迦具土神のご利益
火之迦具土神の神格は、火の神、防火の神、鍛冶の神です。
ご利益としては、
- 火難除け
- 産業隆盛
- 金運増大
- 郷土守護
- 陶器業の神
- 商売繁盛
- 家内安全
といったものが挙げられます。
火之迦具土神を祀る神社
火は人の生活に密着し、欠かせないものだけに、火之迦具土神を祀る神社は日本中にあります。
ここではその代表的な3つの神社を紹介します。


