記紀にはさまざまな神様が登場しますが、今回ご紹介する布都御霊(フツノミタマ)は、他の神様とは少し違った存在です。
長年使われた道具に神が宿ることで生まれる付喪神のように、なんと布都御霊は霊剣が神となった存在なのです。
出雲の国の平定や神武天皇の東征で威力を発揮したことから、兵を束ね、軍事を役割りとしていた物部氏の総氏神とされていました。
神武天皇のピンチを救ったために、現代では「起死回生」を遂げるサポートをしてくれるご利益があるといわれています。
そんな霊験あらたかな剣の神様の物語や神社についてわかりやすく解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
布都御霊とは?
保存神となった霊剣、布都御霊(フツノミタマ)とは?ご利益や祀る神社を解説投稿者:アマテラスチャンネル
神話の時代において、布都御霊は天照大御神の命を受けて、葦原中国を平定した武御雷神(タケミカヅチ)が振るった剣です。
古代神話に登場する草薙剣(クサナギノツルギ)、十拳剣(トツカノツルギ)と並び、神代三剣(カミヨサンケン)に数えられています。
後述しますが、東征の中で苦戦する神武天皇にもたらされ、悪神を退けたと「古事記」には記されています。
布都御霊の別称
布都御霊は、「断ち切る」という様を表す「ふつ」が名称の由来とされています。
そのほかにも、いくつか別称があるので紹介しておきましょう。
- 布都御魂剣(フツノタマノツルギ)古事記
- 韴霊剣(フツノタマノツルギ)日本書紀
- 甕布都神(ミカフツミノカミ)
- 佐比(佐士)布津神(サヒフツノカミ)
※佐士(サジ)を表記されていますが、刀の古語である佐比(サヒ)の誤記とされています。
神格は剣の神です。
布都御霊の神話
それでは、布都御霊の物語について見て行きましょう!
布都御霊は日本国の成り立ち、天皇誕生に大きくかかわった神剣です。神話の中で、布都御霊には2柱の神が深く関わっています。そのふたつの神話を紹介します。
武御雷の葦原中国の平定で奮われた布都御霊
天照大御神が日本国を作った天孫降臨より前の時代、国譲りの物語の中で武御雷(建御雷神)が振るった剣が布都御霊です。
大国主命(オオクニヌシノカミ)が治めていた出雲の国を欲した天照大御神ですが、使者を送るものの交渉が成立せず、最後の手段として選ばれ派遣されたのが武御雷です。
武力に長けた武御雷が降り立ったのが、現在の島根県の稲佐の浜で剣を波に刺し立て、国譲りを成し遂げますが、この時に武御雷が使っていた剣が布都御霊と伝わっています。