神武天皇を救った布都御霊
保存1920年の第一回国勢調査に使われた神武天皇の東征のイラストです。投稿者:アマテラスチャンネル
古事記の中盤になると、神武天皇が日向から奈良盆地周辺の地域を治め、初代天皇になる物語が始まります。
「かむやまといわれびこ」とも呼ばれる神武天皇は、東征の過程で様々な神の援助を受けながら、軍団を組織しつつ熊野まで辿り着きます。
しかし、熊野では土地の悪神の毒による呪いが待ち受けており、神武天皇が率いる軍団は動けなくなってしまいました。
万事休すかと思われたそんな時、窮地を救ったのが布都御霊です。
天香山命とも呼ばれる高倉下命(タカクラジノミコト)という男は、ある日不思議な夢を見ます。
その夢は天照大御神が「熊野の荒ぶる神」の霊力に苦戦する神武天皇を救うため、出雲を平定した武御雷に熊野へ向かうよう指示するという内容でした。
それに対し「自分が降りずともこの剣があれば事足ります」と、武御雷は夢の中で高倉下へ、手に持っていた剣を神武天皇のもとに届けるようにと告げます。目が覚めた高倉下が蔵へ向かうと、夢のお告げの通りに剣があり、彼はその剣を神武天皇に届けました。
神武天皇に託されたその剣(つるぎ)こそ布都御魂です。
保存天香山命は、天照大御神の曾孫に当たる天孫降臨三十二柱の一柱に数えられる神様です。神武天皇の東征の際には、高倉下命の名で布都御霊を届け窮地を救った建国の功労者でもあります。投稿者:アマテラスチャンネル
神武天皇は高倉下から布都御魂剣を受け取ると、毒の呪いで苦しんでいた軍勢は立ち上がり、剣を振るうこともなく熊野の悪神は逃げ帰ったといいます。
保存八咫烏に導かれ、神武天皇は大和朝廷を樹立し、初代天皇となります。投稿者:アマテラスチャンネル
これで勢いづいた神武天皇の軍は、八咫烏(ヤタガラス)の導きに従って進み天下を平定し、神武天皇が初代天皇の座につ着くことで、大和朝廷が樹立されます。
このように、天照大御神によって布都御魂剣がもたらされることがなければ、神武天皇による朝廷の樹立はできなかったでしょう。
日本という国の成り立ちにとって、布都御霊は決して軽視できない存在なのです。
布都御霊のご利益
神武天皇のエピソードを知ることで、布都御魂がどのような神様であるかということについては十分伝わったと思うので、ここからは、布都御魂をお祀りするとどのようなご利益がいただけるかということに焦点を絞って説明します。
布都御霊は、非常に強い霊力をもった剣ということで、古代では軍事の役割を担った物部氏の総氏神であり、剣の神、戦の神として信仰を集めていました。
現代のご利益としては、以下のものが代表的です。
- 無病息災
- 健康長寿
- 病気平癒
- 百時成就
といったものです。とくに、神武天皇の窮地を救ったことから、窮地から大復活を遂げる起死回生のご利益があるとも言われています。
このあとご紹介する布都御魂を祀る神社では「起死回生」と書かれたお守りが配られており、そのお札を受け取りに全国から奈良に参拝者が集まることからもそのパワーは折り紙付と言えるでしょう。
布都御霊が祀られている神社
神武天皇の東征成功のあと、宮中に祀られていた布都御霊を祀っている神社は2か所だけです。
布都御魂の加護を受けるためにぜひともお参りしたいその2ヶ所の神社を紹介していきましょう。