ご先祖様(祖霊)がお祀りされている場所で奏上する拝詞です。神道を信仰しているのであれば、祖霊が奉られている祖霊舎(それいしゃ)の前で、仏教であれば、仏壇の前で毎日奏上するのがよいでしょう。
祖霊拝詞の全文
祖霊拝詞の全文は以下の通りです。
掛巻も畏き○○○命(かけまくもかしこき○○○みこと)の
御霊の御前に慎み敬ひも(みたまのみまえにつつしみいやまひも)
白さく朝に夕に拝み仕へ奉り(もうさくあしたにゆうべにおろがみつかへまつり)
恩頼を仰ぎ慕ひ奉る随々に(みたまのふゆをあおぎしたいまつるまにまに)
御霊慰め奉らくと(みたまなごめまつらくと)
御食御酒種々捧げ奉り清き明き誠心以て(みけみきくさぐささげまつりきよきあかきまごころもちて)
拝み奉る状を平らけく安らけく(おろがみまつるさまをたいらけくやすらけく)
諾ひ聞食し給ひて家内穏ひに和み陸みて(うべなひきこしめたまひてやぬちおだひになごみむつみて)
子孫の八十続家門(うみのこのやそつづきいえかど)
弥廣に立ち栄へしめ給へと恐み恐みも白す(いやひろにたちさかへしめたまへとかしこみかしこみももうす)
冒頭は、○○家代々の御祖(○○けよよのみおや)でも可です。
祖霊拝詞の現代語訳
代々の祖先達の御前に、心を込めてお祈り申し上げます。その大きな恵みに深く感謝し、家に伝わる大切な教え(家訓)と共に、身を正して一生懸命生活し、家族をはじめ皆が心を合わせて、仲良く穏やかに手を合わせる様子を愛しいとご覧になられまして、遠い将来の子孫までこの家が立派に繁栄していますように、心を込めてお祈り申し上げます。
祖霊とは
祖霊(それい・みおやのたま)とは、ご先祖様の御霊のことです。主に神道の祭祀の際に用いられる詞で、直近で亡くなった祖父母のような血縁者ではなく、死後かなりの時間が経過し、生前の個性を失ったものを指しています。
そのため、死霊と祖霊は全くの別物で、供養の対象となるものは「死霊」とし、死んでから一定年数(30年・33年・50年など地方によって異なる)経過した後に、祀り上げられた死霊が、祖霊の一部とされるのです。死霊は供養を重ねるごとに個性を失い、完全に個性を失ったその後に、祀り上げが行われます。
また、祖霊は時に神格化されると考えられることもあり、そういった祖霊は祖神や氏神(うじがみ)として、氏族や村落に共同で祀られます。実際に沖縄地方では、7代で神とされる文化が存在していました。